ガジェット好きの建築設計事務所所員のつぶやき

ここでは日々の思ったことを深堀りします。

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建築デザインの新しい次元 BIMを始めよう

1年ちょっと前の話であるが、会社でBIMを取り入れることになった。

すごく軽くBIM部長に任命されてしまったわけであるが、去年1年本格的にBIMを触ってみて感じたことをまとめておこうと思う。
ちなみにメインで使うソフトはグラフィソフトジャパン株式会社のArchcadである。
我々みたいな弱小設計事務所はこれで充分である。

BIM導入のメリットとは?

BIM(Building Information Modeling)を導入することには、様々なメリットがある。
まずはそれらのメリットについて解説しようと思う。

1-1.BIMとは何か

まず知らない人のためにBIMとは何かであるが、ひとことで言えば建築設計における情報整理ソフトである。
柱や梁、壁といった要素をつかって、設計情報を入力していけば、建築の3Dモデルが完成し、それを平面図、立面図、断面図や詳細図として変換していくことが出来るツールである。

1-2. デザインの視覚化

BIMは建物やプロジェクトを3Dで視覚化することができ、デザインの具体的なイメージの共有が可能になる。
これにより、プロジェクトの進捗をリアルタイムで確認・共有し、意見や修正を容易に行うことができる。

1-3. コスト削減と効率向上

BIMを活用することで、建築プロセス全体の効率が向上し、コスト削減が可能となる。
設計のミスを事前に発見でき、修正が容易になるため、無駄な手戻りが減る可能性もある。
また、資材の適切な管理や最適な施工計画の立案も行いやすくなる。

1-4. 情報の一元管理

BIMは様々な情報を一元管理することができる。設計図面、材料のデータ、工程スケジュールなどが統合され、関係者間での情報共有の円滑化が期待できる。
これにより、コミュニケーションのミスを減少させ、プロジェクトをスムーズに進行させることが可能。

1-5. 環境への配慮と持続可能性

BIMはモデルを内包するので、エネルギー効率や環境への影響をシミュレーションすることが可能である。
建物の設計段階から、省エネ性や環境への配慮をリアルタイムに検討できる。

1-6. チームワークと協力の促進

BIMは複数の関係者が同じプラットフォームで作業することを可能にし、チームワークと協力の促進が期待できる。
異なる分野の専門家がリアルタイムで情報を共有し、意思疎通が円滑に行えるため、プロジェクト全体の品質向上に寄与する。

* 建築デザインの新しい次元

BIM(Building Information Modeling)がもたらす建築デザインの進化は、これまでの常識を超えた魅力的な可能性を提供していくだろう。
現在は3D曲線でもモデルがあれば実際に施工が可能な技術もあるため、BIMの進化が建築の進化につながるともいえる。

2-1. 空間を体感する

BIMは建物やプロジェクトを立体的に表現でき、デザインのイメージを3Dで確認できる。
これにより、建築物の外観だけでなく、内部の空間もリアルに体感でき、クライアントや設計者はより具体的なイメージを持つことができる。
特にVRを組み合わせたBIMモデル内のウォークスルー体験は、実際のスケール感に近いものを体験できるところまで技術が追い付いている。

2-2. デザインの柔軟性と変更の容易さ

BIMを活用することで、設計段階での変更が簡単に行える。
柔軟性が向上し、クライアントの要望やプロジェクトの進行に合わせてデザインを変更できる。
これにより、よりユーザビリティの高い建築物が生まれる可能性が広がる。

2-3. 材料やカラーパレットの視覚化

BIMは建築に使用される材料や色彩をリアルに視覚化することができる。
最近は施主側のリテラシーも高く、検討パースやモックアップ等も欠かせない。そういった打合せに関してもBIMを使えば簡単に解決できる。
建物の外観や内装のデザインにおいて、具体的な材料や色のイメージを簡単に共有でき、デザイン決定の助けとなる。

* 課題克服:BIMの導入に伴う注意点

BIM(Building Information Modeling)を導入する際には、いくつかの課題が浮上するが、それらに対処する方法を考察します。

3-1. データ整合性の確保

BIMでは多岐にわたる情報が集約されるため、データの整合性が問題となりうる。
異なる部門や担当者が同じデータを扱う場合、不整合が生じないようにプロジェクト初期からデータ管理の基準を設け、共有することが大切。
でもまあ、これは2DCADでも同じことである。

3-2. 導入コストの把握と最適化

BIMの導入には初期の費用がかかります。また扱える人材育成費用も忘れてはいけない。
このため、事前に導入に必要なコストを正確に把握し、プロジェクトに最適なBIMの範囲を選定することが必要。
適切な予算と長期の導入計画の検討が重要である。

3-3. スキルの向上とトレーニン

BIMの導入には従来の手法と異なるスキルが必要となる。
関係者全員が新しいツールやプロセスに適応できるよう、トレーニングプログラムを導入し、スキル向上に努めることが鍵となる。

3-4. チーム全体のコラボレーション

BIMの利点を最大限に引き出すためには、関係者全員の協力が特に必要。
プロジェクトメンバー間のコミュニケーションを円滑に保ち、情報共有を促進することで、課題の解決がスムーズに進むだろう。
個人的な考えではあるが、最低のプロジェクト単位としてはBIMを理解して設計を進める人、BIMに情報を入力する人を別に用意することが望ましい。

* 効率アップ!プロジェクト管理の改善

BIM(Building Information Modeling)がもたらすプロジェクト管理の進化に焦点を当て、どのように効率化が図られるかを解説する。

4-1. リアルタイムな進捗確認

BIMはプロジェクトの進捗をリアルタイムで把握できるため、関係者はいつでも最新の情報を得ることができる。
これにより、適切なタイミングでの意思決定が可能となり、プロジェクトの遅延を最小限に抑えることが出来る。

4-2. 複数関係者との円滑な情報共有

BIMを使用することで、設計者、建築家、施工者など、複数の関係者が同じプロジェクトデータにアクセスできるようになる。
このように情報が一元化された環境において、コミュニケーションを円滑に行うことでミスや誤解が少なくなる。

4-3. 予測可能なリスク管理

BIMはデータをもとにしたシミュレーションが可能であり、様々なリスクを予測することができる。
これにより、予想外のトラブルに備えた計画がたてられ、プロジェクト全体のリスク管理が向上する。

4-4. 資材管理の効率向上

BIMはプロジェクトに使用される資材のデータを一元管理できるため、積算を含めた資材の適切な調達や管理が可能となる。
これにより、余剰な資材の発生や拾い忘れなどの問題が軽減され、コスト管理の効率が向上します。

* BIMの今後と未来の建築設計の可能性

BIM(Building Information Modeling)が未来の建築やデザインに与える影響は、私たちの日常生活にも大きな変化をもたらすことが予想できる。
ネットでは様々な意見も飛び交うが、ここでは個人的な考えをまとめておこうと思う。

5-1. バーチャルな建物の散歩

BIMは建物やプロジェクトを3Dで表現することができる。これにより、設計中の建物を「体験」できるようになる。
設計中の建物と外部環境との関係性に関しては、PLATEAUhttps://www.mlit.go.jp/toshi/daisei/plateau_hojo.html/などのサービスと組み合わせることで事前に問題をつぶすことが出来そう。
また、設計中の建物内部の話であれば、VR技術の進歩により、廊下幅やサイン計画、見通しや視認性など2DCADでは想像や経験による判断を実際に体験することが可能になる。
この辺りの話は技術の発展でどんどん進んでいくだろうから楽しみである。MetaQuestでは少し硬すぎるので、ARグラスなどでそれができるようになればもう少しカジュアルに打合せが出来るのではないかと楽しみにしている。

5-2. ゲーム空間で学習する建築デザイン

BIMを使ったデザインは、仮想空間やゲームの中で学習することができるのではないかと思う。
特に公共施設や公園など、公共空間におけるデザインがどのように利用されるか施工する前に試すことが出来る。

5-3. 省エネの未来

BIMモデルで建物のエネルギー効率の精密なシミュレーションができる様になれば、省エネ建築の正解がすごく早く出るのではないか。
今までは建築家が自分たちの業務の中で実験的に行い、発表し知識として蓄えられてきたという歴史がある。
断熱材の厚みはこれくらいでこういう効果があるなどという素材の話は計算で仮説を立てることが出来るが、パッシブデザインと呼ばれる建築手法の効果は未だ解明されていないと思っている。(ZEBなどではそういった考え方を取り入れているがまだまだふわっとしている。効果を科学し解明しているのであれば教えて。)
BIMによりそういった解明速度が上がるのではないかという期待である。

5-4. BIMで確認申請を行うことについての意見

BIMで確認申請をすることを目指す動きがあるが、それは個人的にはどちらでも良いかと思っている。
確認申請は第三者による建築基準法に適合しているかどうかの確認作業なので、BIMが必ず必要かと言われればそうではない。
情報の一元化によるミスが無くなることは審査のスピードアップにはなるだろうが。

最後に

大企業なら教育ができるし、予算も採りやすい、事前に図面の不整合がわかる、などが理由でゼネコンがBIMを導入するという話も最近は多いような気がする。
設計事務所なんてお金がないし、時間もないし。
しかし、建物を建てるプロセスの中で社会的に一番効果があるのはやはり設計BIMだと思う。設計図そのまま施工図にできるし、数量出るし。
詳細図作成のかゆいところに手が届かないもどかしさがあったり、詳細に作り込むほど時間が溶けてしまう問題だったり。
この時代にBIMプロフェッショナルになれば、それだけで新しい仕事にもつながりそうな感覚もあったりする。

最近BIMモデルそのものが提出物になる公共工事の仕様書も出てきている。知らないでは済まされないBIMの話。

今日はここまで。